詩集

茨木のり子展

世田谷文学館で開催中の「茨木のり子展」に行ってきました。 と呼ばれる茨木さんの直筆原稿・掲載誌・書簡から 身に着けていたもの・詩「椅子」に書かれたスウェーデン製の椅子まで 様々なものが展示されていました。 川崎洋さんとたった二人で創刊したとい…

追悼・やなせたかしさん

先日やなせたかしさんが94歳で他界されました。 やなせさんは一般的には漫画家や絵本作家 としての印象が強いかもしれませんが、 実に多くの詩を書かれていて、僕にとっては常に 目指すべき先頭を走っていらっしゃった方です。 やなせさんは、「詩人」と呼ば…

「こころ」 谷川俊太郎

2008年4月から2013年3月まで朝日新聞「今月の詩」 に連載された詩を集めた本です。 新聞連載のため幅広い読者層を意識されたのか どの詩も短くシンプルで分かりやすいです。 様々な「こころ」を表現した作品が六十篇集められているので、 誰もがそのときの気…

「あなたも詩人」 文・辻信太郎 絵・葉祥明

こういうタイトルですが、詩の書き方の入門書といった趣よりも 名作を集めて紹介したアンソロジー詩集といった感じの本です。 (僕は書き方の入門書や手引書の類いは一切読まないので) 普段詩に馴染みのない方が入り口として読むのには 茨木のり子さんの『…

「いのちより大切なもの」 星野富弘

先日「星野富弘 花の詩画展inお茶の水 いのちより大切なもの」 に行ってきました。 星野さんの存在や作品についてある程度のことは知っていましたが、 こうしてじっくり向き合ったのは今回が初めてでした。 いのちが一番大切だと 思っていたころ 生きるのが …

「水瓶」 川上未映子

奇才的な感覚を持った表現者というのがいます。 世の中にはわりとたくさんいます。 そういう人の作った「音楽」や「絵画」や「映画」や 「小説」を僕は好きで、楽しく味わうことができます。 ところが、奇才的な感覚を持った人の書いた「詩」だけは、 昔から…

「愛の詩集」 室生犀星

室生犀星さんの第一詩集です。 まずは序詩における高らかな宣言で幕を開けます。 序詩 自分は愛のあるところを目指して行くだらう 悩まされ駆り立てられても やはりその永久を指して進むだらう 愛と土とを踏むことは喜しい 愛あるところに 昨日のごとく正し…

「てんとうむし」 阪田寛夫

阪田寛夫さんの詩の中から親しみやすい作品を集めた一冊です。 阪田さんは小説で芥川賞や川端康成文学賞を受賞されている一方で、 童謡「サッちゃん」「おなかのへるうた」などを作詞したり 教科書に載るような詩篇を書かれていたり、実に幅広い創作活動をさ…

「ほほえみ には ほほえみ」 川崎洋

川崎洋さんの詩の中から代表作や親しみやすい 作品を集めた詞華集です。 童話屋さんからは、こういう手に取りやすい選集が たくさん出ていていいですね。 こういう選集を取り上げて讃えると、 詩の「通」の方からは「邪道だ」と言われてしまうかもしれません…

「レモンとねずみ」 石垣りん

石垣さんの遺品の中から見つかった約350編の詩の中から 40編を選出した詞華集です。 石垣さんは生前四冊の詩集を刊行されていますが、 亡くなる直前に「五冊目の詩集を作りたい」と願われていたそうです。 この本はその願いを託された編者の方がまとめたもの…

「詩のこころを読む」 茨木のり子

詩集というよりは、詩の入門書とか手引書といった内容で、 様々な詩を紹介しながら茨木さんの文章が添えられています。 1979年に刊行されて以来多くの人に愛されつづけ、 すでに72刷と版を重ねた不朽の名著。 この本が大人からも子どもからも長く読み継がれ…

朗読会に行ってきました。

先日、詩人の平岡淳子さんよりお招きいただき、 生まれて初めて詩の朗読会に出席させていただきました。 現在『詩とファンタジー』に掲載中の僕の作品「ポスト」を 絵本作家の川浦良枝さんが朗読してくださるとのことで。 会場は明大前にあるブックカフェ槐…

「くどうなおこ詩集○」 工藤直子

童話作家で詩人の工藤直子さんの詩・散文詩・童話など を集めた詞華集(アンソロジー)です。 基本的には子ども向けに書かれた作品群なのですが、 大人が読んでも胸に染みいる作品ばかりで、 溜め息をつかずには読めません。 有名な「てつがくのライオン」を…

「詩を贈ろうとすることは」 谷川俊太郎

僕が詩を書き始めた十代の頃に繰り返し読んでいた詩集です。 だから僕にとっては原点のひとつとなった本であり、 この本によって詩の書き方というのを学ばせていただいた ような気がします。 というよりも影響を受けずにはいられませんでしたね。 久しぶりに…

「突然訪れた天使の日」 リチャード・ブローティガン

僕はビート・ジェネレーションだかビートニクだかについては よく分からないのですが、ブローティガンさんの詩には 理屈抜きに惹かれるものがあります。 まず、この本を一読して誰しもが思うのはおそらく 一編が「短い」ってことですよね。 三行とか四行とか…

「かぜのひきかた」 辻征夫

辻征夫さんの詩集をもっと読みたくて探していたら、 絶版になってしまっているのかなかなか手に入らない ものがあったため、しばらく現代詩文庫の「辻征夫詩集」 を読んでいました。 しかし、読んでいるうちにやはり詩集単位で読みたくなり、 結局インターネ…

「雲の映る道」 高階杞一

高階杞一さんはとても好きな現代詩人の一人で、 以前このブログに書いた『キリンの洗濯』と、 この『雲の映る道』は何度も読み返しています。 どの詩もたいへん分かりやすく、とてつもない想像力と ユーモアに満ちているのですが、どこかほろ苦く物哀しい。 …

「死者の贈り物」 長田弘

この詩集もずいぶん前から何度も読み返しています。 長田さんの詩集の中でも特に好きな一冊です。 主に「死」を扱った作品群で、筆者の言葉を借りるならば 「親しかったものの記憶にささげる詩」ということです。 「碑銘を記し、死者を悼むことは、ふるくか…

「東京バラード、それから」 谷川俊太郎

谷川さんの新刊をさっそく読みました。 四十年ほど前にかかれた連作詩「東京バラード」 (『うつむく青年』所収)と現在とを写真と詩で繋ぐ という新たな試みがされています。 いくつかの書き下ろしを除いては、既刊詩集に 掲載済みの詩がシャッフルされ再掲…

「おかあさん」 サトウハチロー

この詩集は、読む人の境遇あるいは思い出などによって 様々な反応を引き起こすような気がします。 ある人は、微笑ましい気持ちで読むかもしれません。 ある人は、ページを開くたびに涙がこぼれるかもしれません。 僕は、何故かいつも眠くなります。 もちろん…

「われに五月を」 寺山修司

寺山修司さんは、長い間僕にとってごく個人的な理由で 克服できずにいる詩人でした。 僕が最初の詩集を書いていた十代の頃、その作品を読んだ ある方から「寺山修司もどき」と言われたことがありました。 今考えれば光栄な言葉でもあるのですが、当時はそれ…

「倚りかからず」 茨木のり子

茨木さんの詩集を読むたびに僕がいつも思うのは、 詩の素晴らしさもさることながら、それを通じて 人間「茨木のり子」に強く惹きつけられるということです。 いい詩を書くためには、まず人間を鍛えること。 日々を丁寧に懸命に生きること。 改めてそんなこと…

「魂のいちばんおいしいところ」 谷川俊太郎

谷川俊太郎さんの詩集はどれも好きですが、 『うつむく青年』と『空に小鳥がいなくなった日』と この詩集には特別な思い入れがあります。 自分の中では「サンリオ三部作」(?)と勝手に呼んでいるのですが、 サンリオから出版されたこの三冊の詩集は、 学生…

「屋上で遊ぶ子供たち」 辻仁成

大学生の頃、数え切れないほど繰り返し読んだ 辻仁成さんの第一詩集です。 久々に読み返しましたが、当時あまりに読みこんでいたので、 今でも暗唱できるのではないかというくらい ひとつひとつの詩をよく覚えていました。 好きなフレーズがいくつもあります…

「わがひとに与ふる哀歌」 伊東静雄

伊東静雄さんの処女詩集にして代表作。 二十九歳で刊行されているというから驚きです。 描かれている情景は美しいのに、読み返すたび ひりひりとした痛々しさばかりが伝わってきます。 その背景には、叶わぬ恋(しかも相当に残酷な) があったからということ…

「求愛瞳孔反射」 穂村弘

面白いです。この詩集。 面白いって表現が正しいか分かりませんが・・・、 でも、読み始めてすぐ「デニーズ・ラヴ」という詩で 噴き出してしまいましたもの。 詩を読んで笑ったのなんて久しぶりです。 僕は穂村弘さんの本を読むのは初めてだったのですが、 …

「ONLY PLACE WE CAN CRY」 銀色夏生

高校生の頃、僕のクラスでは銀色夏生さんの色々な本が 回し読みされていました。 たしか最初に女子の誰かが一冊回し始めて、それが皆の手に 渡るうちに次々とファンが増殖し、色々な人が買って それをまた貸し借りして・・・という風に。 それで一時期僕のク…

「春とおないどし」 新川和江

あとがきによればこの詩集は、それまで本に収録される 機会のなかった作品を集めたものだそうです。 音楽で言えばアルバム未収録曲を集めた「B面コレクション」 のような地味なイメージが浮かぶかもしれませんが、とんでもない。 僕にとっては「ベストアルバ…

「キリンの洗濯」 高階杞一

この詩集は十四、五年前に書店で見かけて、 興味深いタイトルと、なんとも言えない素朴で 味のある装丁に惹きつけられて買った覚えがあります。 そして、一読すると今度は一気にその作品世界に 引き込まれました。以来、何度も読み返しています。 僕はこの本…

「智恵子抄」 高村光太郎

学生の頃この詩集を初めて読んだときは、 多くの方がそうであるように僕もまた胸を打たれ なんと哀しく美しい抒情詩集だろうと思いました。 ひとりの女性への底抜けの愛を詠いあげた 世界的にもあまり類を見ない希有な一冊であると。 しかし、今はこの詩集(…

「深呼吸の必要」 長田弘

僕は「散文詩」というものがあまり好きではないのですが、 この詩集に限っては何度も繰り返し読んでいます。 特に前半の『あのときかもしれない』のパートが好きで、 これは「きみはいつおとなになったんだろう」という問いかけと、 それに対する八つの解答…

「女に」 谷川俊太郎

右ページに谷川俊太郎さんの詩、 左ページに佐野洋子さんの絵という構成の詩画集です。 これまでに何度も読んできた本ですが、 先日佐野洋子さんがお亡くなりになったことを記事で知り、 改めて読み返した次第です。 この詩集を手にするたび、僕はいつも 「…

「わたしと小鳥とすずと」 金子みすゞ

駅構内やスーパーマーケットの中のような小さな書店では、 店頭に置かれてある詩集はごくわずかなものです。 しかし、そういう書店に置かれてある詩集こそが、 現在最も多くの人に愛されている詩集ということでしょう。 そして、どこの小さな書店でも頻繁に…

「春と修羅」 宮澤賢治

何度読み返しても涙がこみ上げてくる詩。 僕にとってそれは、この詩集に収められている 「永訣の朝」です。 今まさに死にゆかんとしている妹とのやりとり、 そして哀しくも美しい情景は、あまりにもはっきりと 眼前に浮かび上がり、胸に迫ってきます。 実は…

「幻・方法」 吉野弘

昔から大好きな詩集で何度も読み返しています。 この詩集は四部構成で成り立っていて、 前半部(ⅠとⅡ)は、主に労働者の苦悩を描いた と思われる作品が載っています。 この前半部は、正直なところ、読んでいて 息が詰まるような重い気分になります。 縛られ…

「くじけないで」 柴田トヨ

「白寿の詩人」ということで いま大変話題になっていますね。 98歳、柴田トヨさんの処女詩集です。 僕は、自分の作品が載った「詩とファンタジー(春夢号)」で、 たまたま柴田さんの特集が組まれていたことをきっかけに 彼女のことを知りました。 本を買っ…

「まど・みちお全詩集」 まど・みちお

「まど・みちお全詩集」を読みました。 広辞苑かと見紛うほどボリュームのある 800ページに渡る全集です。 読了した今、胸躍る楽しい長旅が終わってしまった ような寂しさと同時に、素晴らしい旅を味わわせて くださったまどさん(と編者の伊藤さん)に 感謝…

「100歳詩集 逃げの一手」 まど・みちお

昨年まど・みちおさんが100歳になったのを祝して 刊行された詩集です。 (太宰治さんと同じ年に生まれたんですね) 百歳ともなれば、達観した視点や説教めいた 物言いになるのかと思いきや、むしろ逆で まど・みちおさんが世界や自然に向ける視線 というのは…

「測量船」 三好達治

「惹かれる」というよりは、むしろグイと強く 「引っ張られる」ような魅力を持った詩集です。 何度手にとっても、その都度何かに取りつかれたかの ようにむさぼり読んでしまいます。 三好達治さんの詩は、その「リズム」や「抒情性」と いった側面から語られ…

「詩の本」 谷川俊太郎

新刊が出ると迷わずすぐに購入する作家(あるいは詩人) というのが、僕には何人かいます。 その人の書いた本なら、どんな内容のもので あっても我先に読みたいという。 谷川俊太郎さんはそのうちの一人です。 ところが、この新刊に限って、僕はすぐに購入す…

「あさって歯医者さんに行こう」 高橋順子

本日は、一番最近読んだ詩集を。 一週間ほど前に買って、三回読みました。 お気に入りの一冊になりそうです。 題材はわりと身近な、誰でも目にするような 風景なのですが、そこに高橋さんの視点が 注ぎ込まれると、とたんに素敵な風景に 様変わりします。 そ…

「表札など」 石垣りん

詩人といえば石垣りん。 何故か僕は真っ先にそう思います。 理由はうまく説明できませんが、たとえば誰かに 「どういう人を詩人というのか?」と尋ねられたなら 迷うことなく「石垣りん」と答えるでしょう。 そしてこの「表札など」を読めば、だれも 反論で…

「エルヴィスが死んだ日の夜」 中上哲夫

久々に読み返しました。 たしか最初に書店で出会ったとき、 書名に惹かれて買ったと記憶していますが、 改めて読んでみて、やはり中上さんが詩に つけるタイトルはどれも素敵だなあと思いました。 この本に収められている詩はいずれも、 一行一行ゆっくりと…

「月に吠える」 萩原朔太郎

まず、もう書名に持っていかれますよね。 「月に吠える」 って・・・カッコ良すぎます。 とは言え、中身を読むと月に吠えたくなるというよりは、 むしろ囁くような声で音読したくなるような。 そして、あたり一面竹が生えはじめ その竹林の中で、僕は上半身…

「萌えいづる若葉に対峙して」 辻征夫

辻征夫さんは、僕が最も好きな現代詩人のひとりです。 中でもこの詩集は、何度読み返したか分かりません。 どの作品も好きなものばかりですが、読む時期に よって「特に好きな詩」って変っていくんですよね。 学生の頃は「宿題」と「蟻の涙」にしびれまくっ…

「愛情69」 金子光晴

もし、日本で特に好きな詩集を三つ選べと言われたら、 僕はその一つにこの詩集を挙げます。 主に女性や愛について書かれた69編の連作詩で 編まれていて、どの作品からも匂い立つような なまめかしさが伝わってきます。 73歳の時に刊行された詩集とのことで…

「アルマジロジック」 田口犬男

田口犬男さんの詩集を読むと、僕はいつも その想像力とユーモアに対して 「ひとりスタンディング・オベイション」 を送りたくなります。 「想像力」と「ユーモア」。 僕は、詩を書くにあたってこのふたつを とても重要な要素と考えているのですが、 田口さん…

「ラングストン・ヒューズ詩集」 ラングストン・ヒューズ

僕は、この詩集のように口語調で生活感がありありと 感じられるような作品というのがとても好きです。 (木島始さんの訳の力も大きいと思います) ラングストン・ヒューズさんの詩を読んでいると、 当時の黒人の生活が胸に沁みわたります。 しかし、作品から…

「先端で、さすわ さされるわ そらええわ」 川上未映子

学生の頃に読んでいた本ばかりを挙げていたので、 今回は、いちばん最近読んだ詩集を。 立て続けに3回ほど読みました。 川上未映子さんの作品に触れるのは初めてでしたが、 独特な響きをもった文体にすっかり魅了されました。 「関西弁口語体」といいましょ…

「自分の感受性くらい」 茨木のり子

学生の頃、この詩集の表題作「自分の感受性くらい」を読んで ボロボロと涙をこぼしたことがあります。 まるで自分のことを見透かされたような、 自分の中のずるい部分を言い当てられたような、 そんな気持ちになり、戒められました。 そして、その体験は僕に…