詩集

「深呼吸の必要」 長田弘

僕は「散文詩」というものがあまり好きではないのですが、 この詩集に限っては何度も繰り返し読んでいます。 特に前半の『あのときかもしれない』のパートが好きで、 これは「きみはいつおとなになったんだろう」という問いかけと、 それに対する八つの解答…

「女に」 谷川俊太郎

右ページに谷川俊太郎さんの詩、 左ページに佐野洋子さんの絵という構成の詩画集です。 これまでに何度も読んできた本ですが、 先日佐野洋子さんがお亡くなりになったことを記事で知り、 改めて読み返した次第です。 この詩集を手にするたび、僕はいつも 「…

「わたしと小鳥とすずと」 金子みすゞ

駅構内やスーパーマーケットの中のような小さな書店では、 店頭に置かれてある詩集はごくわずかなものです。 しかし、そういう書店に置かれてある詩集こそが、 現在最も多くの人に愛されている詩集ということでしょう。 そして、どこの小さな書店でも頻繁に…

「春と修羅」 宮澤賢治

何度読み返しても涙がこみ上げてくる詩。 僕にとってそれは、この詩集に収められている 「永訣の朝」です。 今まさに死にゆかんとしている妹とのやりとり、 そして哀しくも美しい情景は、あまりにもはっきりと 眼前に浮かび上がり、胸に迫ってきます。 実は…

「幻・方法」 吉野弘

昔から大好きな詩集で何度も読み返しています。 この詩集は四部構成で成り立っていて、 前半部(ⅠとⅡ)は、主に労働者の苦悩を描いた と思われる作品が載っています。 この前半部は、正直なところ、読んでいて 息が詰まるような重い気分になります。 縛られ…

「くじけないで」 柴田トヨ

「白寿の詩人」ということで いま大変話題になっていますね。 98歳、柴田トヨさんの処女詩集です。 僕は、自分の作品が載った「詩とファンタジー(春夢号)」で、 たまたま柴田さんの特集が組まれていたことをきっかけに 彼女のことを知りました。 本を買っ…

「まど・みちお全詩集」 まど・みちお

「まど・みちお全詩集」を読みました。 広辞苑かと見紛うほどボリュームのある 800ページに渡る全集です。 読了した今、胸躍る楽しい長旅が終わってしまった ような寂しさと同時に、素晴らしい旅を味わわせて くださったまどさん(と編者の伊藤さん)に 感謝…

「100歳詩集 逃げの一手」 まど・みちお

昨年まど・みちおさんが100歳になったのを祝して 刊行された詩集です。 (太宰治さんと同じ年に生まれたんですね) 百歳ともなれば、達観した視点や説教めいた 物言いになるのかと思いきや、むしろ逆で まど・みちおさんが世界や自然に向ける視線 というのは…

「測量船」 三好達治

「惹かれる」というよりは、むしろグイと強く 「引っ張られる」ような魅力を持った詩集です。 何度手にとっても、その都度何かに取りつかれたかの ようにむさぼり読んでしまいます。 三好達治さんの詩は、その「リズム」や「抒情性」と いった側面から語られ…

「詩の本」 谷川俊太郎

新刊が出ると迷わずすぐに購入する作家(あるいは詩人) というのが、僕には何人かいます。 その人の書いた本なら、どんな内容のもので あっても我先に読みたいという。 谷川俊太郎さんはそのうちの一人です。 ところが、この新刊に限って、僕はすぐに購入す…

「あさって歯医者さんに行こう」 高橋順子

本日は、一番最近読んだ詩集を。 一週間ほど前に買って、三回読みました。 お気に入りの一冊になりそうです。 題材はわりと身近な、誰でも目にするような 風景なのですが、そこに高橋さんの視点が 注ぎ込まれると、とたんに素敵な風景に 様変わりします。 そ…

「表札など」 石垣りん

詩人といえば石垣りん。 何故か僕は真っ先にそう思います。 理由はうまく説明できませんが、たとえば誰かに 「どういう人を詩人というのか?」と尋ねられたなら 迷うことなく「石垣りん」と答えるでしょう。 そしてこの「表札など」を読めば、だれも 反論で…

「エルヴィスが死んだ日の夜」 中上哲夫

久々に読み返しました。 たしか最初に書店で出会ったとき、 書名に惹かれて買ったと記憶していますが、 改めて読んでみて、やはり中上さんが詩に つけるタイトルはどれも素敵だなあと思いました。 この本に収められている詩はいずれも、 一行一行ゆっくりと…

「月に吠える」 萩原朔太郎

まず、もう書名に持っていかれますよね。 「月に吠える」 って・・・カッコ良すぎます。 とは言え、中身を読むと月に吠えたくなるというよりは、 むしろ囁くような声で音読したくなるような。 そして、あたり一面竹が生えはじめ その竹林の中で、僕は上半身…

「萌えいづる若葉に対峙して」 辻征夫

辻征夫さんは、僕が最も好きな現代詩人のひとりです。 中でもこの詩集は、何度読み返したか分かりません。 どの作品も好きなものばかりですが、読む時期に よって「特に好きな詩」って変っていくんですよね。 学生の頃は「宿題」と「蟻の涙」にしびれまくっ…

「愛情69」 金子光晴

もし、日本で特に好きな詩集を三つ選べと言われたら、 僕はその一つにこの詩集を挙げます。 主に女性や愛について書かれた69編の連作詩で 編まれていて、どの作品からも匂い立つような なまめかしさが伝わってきます。 73歳の時に刊行された詩集とのことで…

「アルマジロジック」 田口犬男

田口犬男さんの詩集を読むと、僕はいつも その想像力とユーモアに対して 「ひとりスタンディング・オベイション」 を送りたくなります。 「想像力」と「ユーモア」。 僕は、詩を書くにあたってこのふたつを とても重要な要素と考えているのですが、 田口さん…

「ラングストン・ヒューズ詩集」 ラングストン・ヒューズ

僕は、この詩集のように口語調で生活感がありありと 感じられるような作品というのがとても好きです。 (木島始さんの訳の力も大きいと思います) ラングストン・ヒューズさんの詩を読んでいると、 当時の黒人の生活が胸に沁みわたります。 しかし、作品から…

「先端で、さすわ さされるわ そらええわ」 川上未映子

学生の頃に読んでいた本ばかりを挙げていたので、 今回は、いちばん最近読んだ詩集を。 立て続けに3回ほど読みました。 川上未映子さんの作品に触れるのは初めてでしたが、 独特な響きをもった文体にすっかり魅了されました。 「関西弁口語体」といいましょ…

「自分の感受性くらい」 茨木のり子

学生の頃、この詩集の表題作「自分の感受性くらい」を読んで ボロボロと涙をこぼしたことがあります。 まるで自分のことを見透かされたような、 自分の中のずるい部分を言い当てられたような、 そんな気持ちになり、戒められました。 そして、その体験は僕に…

「ゲーテ詩集」 ゲーテ

学生の頃、高橋健二さんの訳した新潮文庫版を 何度も繰り返し読みました。 こんなに名作の詰まった詩集をたった360円で 読んでしまっていいのだろうか・・・と恐縮しつつ。 (現在は420円みたいですが) 天才と呼ばれるゲーテさんですが、詩は決して難解では…

「山羊の歌」 中原中也

一編一編の詩ももちろん好きなのですが、 僕はこの本の詩集としての構成が好きです。 「初期詩篇」「少年時」「みちこ」「秋」「羊の歌」 の五部構成を、その順番でまとまりごとに味わうのが 好きなんですよね。だから、「中原中也詩集」とか 「汚れつちまつ…

「ぼくはくたばりたくない」ボリス・ヴィアン

こういう言い方はボリス・ヴィアンさんに失礼かも しれませんが、お茶目というか、なんだか可愛らしくて、 読んでいて思わずクスッとしてしまうところが多々あります。 それと、距離感が近いというか、息遣いを身近に 感じられるんですよね。まるでバーのカ…

「うつむく青年」谷川俊太郎

谷川俊太郎さんの本には好きなものがたくさんありますが、 中でもこの詩集は何度も繰り返し読んでいます。 谷川さんがあとがきに 「いわゆる現代詩が現代音楽とすれば、この本に収めた 作品はポップスにたとえてもいいようなものも多く」 と書かれているとお…

「ランボー詩集」アルチュール・ランボー

僕が学生の頃に夢中になって読んだのは、清岡卓行さんが訳した 「新訳 ランボー詩集」(河出書房新社刊)だったのですが、 もう絶版になってしまっているようです。 味のあるランボーの肖像画が装丁になっていて 「韻文詩篇」「地獄の季節」「イリュミナシオ…

初ブログ

ブログを始めてみようと思いまして、 よく分からないながら手探り状態でやっております。日記というほどのことは書けないので、せめて 好きな詩集や小説や映画などをご紹介できればと 思ったのですが、こんな感じでいいのでしょうか? テスト的に自分の著書…