一編一編の詩ももちろん好きなのですが、
僕はこの本の詩集としての構成が好きです。
「初期詩篇」「少年時」「みちこ」「秋」「羊の歌」
の五部構成を、その順番でまとまりごとに味わうのが
好きなんですよね。だから、「中原中也詩集」とか
「汚れつちまつた悲しみに・・・」みたいなタイトルで
構成を無視して出版されているものではなく、あくまでも
「山羊の歌」は「山羊の歌」として読みたいのです。
きっと中原中也さんは、そういう意図でこの詩集を
編まれたのではないかと、僕は勝手に思っています。
その点で、日本図書センターから出版されている
「愛蔵版詩集シリーズ」が僕は好きです。
この本も、当時高村光太郎さんの手からなる装丁を
そのまま復刻していますし。
中原中也さんの処女詩集の装丁をを高村光太郎さんが
手がけているというだけでも、この本を持つ手に
重みを感じます。
それに「山羊の歌」って象徴的で素敵な詩集の
タイトルだと思いませんか?
五部構成のラストが「羊の歌」であるのに対して、
なぜあえて詩集としてのタイトルは「山羊の歌」に
したのか? その辺を考えながら読むともう何度
読み返しても足りないくらい、奥深い詩集だと
個人的には思っています。
中原中也さんというとよく「青春」とか「夭折」とか
「孤独」といったキーワードで語られますが、
僕が彼の作品を読むたびに感じることは、
自分の感受性に忠実に向き合った人なんだなと
いうことと、常に「やさしさ」というものに
焦がれていた人だったのではないかということです。
- 作者: 中原中也
- 出版社/メーカー: 日本図書センター
- 発売日: 1999/09/25
- メディア: 単行本
- クリック: 7回
- この商品を含むブログ (5件) を見る