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「詩の本」 谷川俊太郎

詩集

新刊が出ると迷わずすぐに購入する作家(あるいは詩人)
というのが、僕には何人かいます。
その人の書いた本なら、どんな内容のもので
あっても我先に読みたいという。
谷川俊太郎さんはそのうちの一人です。


ところが、この新刊に限って、僕はすぐに購入する
ことを控えました。


なぜかというと、この本が刊行された9月初旬は、
ちょうど僕が「明日の友」の巻頭詩の依頼を受けた
時期だったからです。
これから、その詩を書こうとしているときに、
谷川さんの作品を読んで圧倒されてしまったら、
自信をなくして何も書けなくなってしまうのではないか
と恐れたからです。


そういうわけで、「明日の友」の巻頭詩を書き上げ、
提出し終わってから、購入しました。
読んでみて、やはり巻頭詩を書く前に読まなくて
よかったと思いました。案の定、圧倒されました。


この詩集は、多くの作品の後に谷川さん自身の
短いコメントが添えられています。
どういういきさつでその詩が生まれたのかといった
エピソードや貴重な裏話など。
作品と共にそのコメントも楽しませていただきました。


それと、今回はひとつ読み終わるたびに、
巻末の「初出一覧」を参照して
「ああ、この詩はあの雑誌に書かれたものなんだなあ」
などと照らし合わせながら読んでみました。
実に様々なジャンルの雑誌や会に詩をお寄せに
なっていて、改めて谷川さんのご活躍ぶりを伺い知る
ことができました。(谷川さんが「明日の友」に書かれた
巻頭詩もこの本に載っています)


そして、二回目三回目は純粋に詩だけをじっくり
読み進めたり・・・と今何度も読み返しているところです。
なにしろ、読みたいのを一か月以上我慢していたもので・・・。


どの作品も大変素敵なのですが、まず「泣声」という作品に
特に強く惹かれました。それから「牛」「よく似たふたり」
「手向け」も大好きな詩です。


「道を歩いていると」という連詩(?)も、
大変面白い試みで、何の名作が隠されているのか
謎解きを楽しみました。


それから、茨木のり子さんや中島みゆきさんや
市川崑さんや岸田今日子さんに寄せられた詩なども
載っています。谷川さんと岸田今日子さんが
幼馴染同士だったことを初めて知りました。


とにかく読みどころだらけの詩集ですが、
装丁のデザインもユニークで素敵な佇まいです。
そして、「詩の本」というタイトル。
カッコいいなあ・・・と。


ご本人は「あとがき」の中でこのタイトルに
ついて謙虚なお話を書かれていましたが、
僕は、ビートルズが円熟期の10枚目のアルバム
タイトルに「THE BEATLES」と名付けたときのような
潔さ、カッコ良さを、この「詩の本」というタイトル
からも感じます。


また、「あとがき」の中に書かれてある
ウェブ上の詩と比較した詩の本の魅力のお話、
個人的に大変共感しました。



詩の本

詩の本