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「春とおないどし」 新川和江

詩集

あとがきによればこの詩集は、それまで本に収録される
機会のなかった作品を集めたものだそうです。


音楽で言えばアルバム未収録曲を集めた「B面コレクション」
のような地味なイメージが浮かぶかもしれませんが、とんでもない。
僕にとっては「ベストアルバム」と言っても過言ではありません。
これらの名作たちが何故未収録だったのか不思議でなりません。


新川和江さんの作品を読むたびに僕が脱帽するのは
やはりその感性の美しさ、上品さです。
安心して詩の中に身を委ねられるというか・・・。
心の澄んだ方でないとこういう作品群は生まれ得ない
のではないかと思います。


好きな詩が載ったページの角を折ってあるのですが、
今は多すぎて折り目だらけになっています。
その中から厳選させていただきますと


「四月」
「あかるい四月」
「水栽培のヒヤシンスの傍で」
「あやめの沢」
「みずうみ」
「木かげにはいると…」
「内気な娘が思わず言ったびっくりするほど大胆なこと」
「海浜ホテルにて」
「今頃になって」
「元旦」
「雪うさぎ」
「冬梅」


中でも、最も僕が好きなのは「木かげにはいると…」
この詩を初めて読んだときは、あまりの感動に
思わずページを閉じて空を仰いでしまったほどです。
これ、本当に素晴らしい詩ですよ。


僕は「読む前と読んだ後で世界の見方が変わる」というのが、
優れた詩の持つ力だと思っているのですが、
「木かげにはいると…」を読んだときは、まさに僕の中で
世界の見方がひっくり返りました。
僕自身、目標としている作品のひとつです。


多くの詩が収録されている贅沢な一冊ですが、
四季ごとにパートが分かれているので、
その季節ごとに味わうという読み方もできます。
大好きな詩集です。



春とおないどし―新川和江詩集

春とおないどし―新川和江詩集