NHK全国短歌大会のご報告

このたび「第20回NHK全国短歌大会」に参加させていただき、Eテレでの放映も終了しましたので、改めて詳細をご報告させていただきます。

 

大会2ヶ月前くらいだったでしょうか。通知をいただきまして、今回僕が投稿した二首は

 

【題詠:天】

 

天からの授かりものであるきみはまだ人よりも雲に似ている(特選)

 

【自由詠】 

 

真実を浮き彫りにするためにつく嘘をぼくらは文学と呼ぶ(佳作)

 

という結果でした。

 

特選者は当日の大会で登壇するよう招待され、何度か詳細についてのご案内が届きます。またNHKの演出の方などから四度ほどお電話をいただき、当日の流れの説明や様々な質問などがありました。

 

さて、大会当日1月19日10時30分頃NHKホールに到着しました。

 

 

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まず入口から控室に案内されました。控室には既に十数名の特選者の方がいらして席に着かれていました。皆さん黙々と入選作品集を読まれたりアンケートに記入されたりしています。僕も席についてまず入選作品集を開きました。どの選者の方が選んでくださったのか、事前には知らされていなかったのでまずはそれが気になったのです。(僕の作品は小島ゆかりさんと佐伯裕子さんが特選に挙げてくださっていました)また、他の方の作品も早く読みたかったので。

 

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※正確には

 

天からの授かりものであるきみはまだ人よりも雲に似ている(小島ゆかり特選・佐伯裕子特選・坂井修一秀作・栗木京子佳作)

 

真実を浮き彫りにするためにつく嘘をぼくらは文学と呼ぶ(篠弘佳作・松村由利子佳作)

という結果でした。

 

全員集合すると、スタッフの女性の方から本日のタイムスケジュールや注意事項などの説明があり、お弁当が出されました。わーい、NHKのお弁当をご馳走になれるなんて!

 

 

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 食事中は同じテーブルの方々と色々なお話をさせていただきました。僕は今回の題詠部門では最年少だったようで、短歌歴や歳を聞かれることが多かったです。あと今回の僕の作品について「ご自分のお子さんのことですか?」って色々な方から聞かれました。「いえ、僕は独身でして・・・」と何度答えたことか(笑)

  

食事を終えると控室に司会の小野文惠さん・朗読の加賀美幸子さん・演出家の方がご挨拶にお見えになりました。

 

さて、いよいよ本番(公開収録)のスタンバイです。局内の廊下を歩いてホールに向かいます。撮影中のスタジオをちらちら覗きつつ「あ、朝ドラとか大河とか撮ってるのかなあ。中に俳優さんとかいるのかなあ」とドキドキしました。テレビ局の廊下を歩くなんて初めてのことなので。

 

さて、NHKホールの舞台上に案内され席に座っていると、後から選者の先生方が次々やってきました。今回の選者は

 

 

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といった方々です。(途中ジュニアの部では小島なおさんと松村正直さんも登壇されました)なんだか夢みたいですよね。「現代を代表する憧れの歌人の方々がこんなにいっぺんに集まることなんてあるんだなあ! アベンジャーズみたいだ!」と感動してしまいました。いつも「短歌ください」や「日経歌壇」でお世話になっている穂村弘さんや「短歌の時間」や「NHK短歌」でお世話になっている東直子さんが目の前を通った! とか。僕は雛壇の一番後ろの席だったので、先生方が席に着かれたあとは背中と後頭部しか見えなくなってしまって残念でしたが(笑)

 

13時。幕が上がり、大会がスタートしました。客席には大勢の方がいらっしゃるし、カメラは何台も回ってるし緊張したなあ。

 

TV放映は1時間15分くらいでしたが、実際の大会は3時間程度行われていました。全体の流れとしては

 

・特選作品(題詠)の朗読と選評

・選者の先生方のトーク(短歌の素材について)

・近藤芳美賞発表

・休憩

・ジュニアの部入賞発表

・選者の先生方のトーク(短歌モードへの入り方について)

・特選作品(自由詠)の朗読と選評

・大会大賞発表と表彰

・次回題詠発表

 

といった感じでした。このダイジェストがEテレで放映されていました。

 

僕は加賀美さんに作品を朗読していただいた後、小野アナウンサーから質問されました。実は演出家の方から事前のお電話で「この作品をどうやって作ったかお聞きすると思います」と言われていたので答えを用意していたのですが、小野アナウンサーから突然「短歌への思いは?」と聞かれてしまい、若干パニック状態で答えたように記憶しています(笑)

 

そして、最後にまさかの大会大賞を受賞させていただき、そんなことはまるで予想していなかったのでこれまた頭が真っ白になってしまい、表彰後のコメントも何を喋ったんだか全く覚えていませんでした。でも、本当にありがたかったです。

 

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大会の幕が閉じた後、舞台上の全員で記念撮影をしました。

 

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このタイミングで今回特選をくださった小島ゆかりさんと佐伯裕子さん、昨年河野裕子賞で入選をくださった永田和宏さん、投稿でお世話になっている穂村弘さん・東直子さんにご挨拶させていただきたかったのですが、撮影後すぐスタッフの方に「受賞者インタビューをさせていただきたいのでこちらに来てください」と言われてしまい、その場から離れざるを得なくなってしまいました。ああ、お礼を申し上げたかったなあ。

 

ところで、今回全国短歌大会初司会だという小野文惠アナウンサーは本当にすごい方だなあと思いました。大会前に控室に来てくださったときは、出演者たちの緊張をほぐすお話をしてくださる。開幕直前、普通だったら自分の準備に費やしたい時間のはずなのに、各席を回ってにこやかに声を掛けてくださる。(ブザーが鳴ってから走って自分の定位置に行き、何もなかったようにオープニングトークをされていました)大会中には堂々たる鋭いツッコミが炸裂していましたし、閉幕後記念撮影で皆さんの表情がこわばっていた際は「じゃあ、みんなで『ためしてガッテン!』って言いましょう!」と笑顔にさせてくれたり、撮影後はわざわざ僕のところにも来てくださって祝福の言葉まで掛けてくださいました。完璧なプロフェッショナルのお仕事を見たという感じです。

 

さて、大会終了後舞台裏の廊下でインタービューを受けたのですが、僕は目の前でカメラを回されながら質問に答えるなんて初めてのことで、緊張はするわ、どこを見ながら話せばいいか分からないわで、しどろもどろになってしまいました。放映では相当挙動不審に映っていたんじゃないかなあ。ああ、恥ずかしい・・・。

 

そんなわけで僕自身は終始グダグダでしたが、本当に素晴らしい大会でしたし、特選者の方々の優れた作品を読ませていただくこともできましたし、生で歌人アベンジャーズ(?)も拝ませていただけましたし、一生の思い出に残る一日でした。ジュニアの子たちの作品も素敵だったなあ。またNHKの方々も皆さん丁寧で親切な方ばかりでした。大変お世話になりました。

 

17時頃にNHKホールを後にしたのですが、僕が家に帰る前に、既に18時のNHKニュースで大会の模様が流れていたようで、早速知り合いなどから電話やメールやLINEが届き始め、NHKってやっぱりすごいなあと改めて思った次第です。

 

長くなりましたが、当日の模様などをご報告させていただきました。

 

この大会に参加させていただいて僕が一番強く感じたのは、短歌を好きな方々の「熱」です。短歌に情熱を傾ける人たちの熱さと、短歌を愛好する人たちのあたたかさ。吸収させていただきたいと思うことばかりでした。

 

4万4000首も寄せられる短歌大会なんて他にないと思いますし、18人もの代表的歌人が選者を務めてくださる機会なんてそうはないですよね? だから僕よりも若い世代の方々にも広まってさらに参加者を増やしながら、是非これからも長く続けてほしいなあと思います。

 

このたびは貴重な機会にお招きいただき、本当にありがとうございました。

 

短歌を好きになって良かったです。

 

 

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