「まど・みちお全詩集」 まど・みちお

まど・みちお全詩集」を読みました。
広辞苑かと見紛うほどボリュームのある
800ページに渡る全集です。


読了した今、胸躍る楽しい長旅が終わってしまった
ような寂しさと同時に、素晴らしい旅を味わわせて
くださったまどさん(と編者の伊藤さん)に
感謝したい気持ちでいっぱいです。
この詩集は、世界遺産にしたらいいんじゃないか
と思うほどです。


僕はこの本を膝の上に載せながら、毎日少しずつ
読んでいたのですが、ひとつひとつの詩を読み終わるたび
何度ため息をついたかしれません。
実際「すっげえ・・・」と思わず口に出して
感嘆してしまったこともしばしば。


昔から、まど・みちおさんの詩は大好きで、
折に触れ読んではいましたが、こうして(ほぼ)全ての
作品を年代順に片っぱしから読み、まどさんの世界に
どっぷりつかるというのは、本当に素晴らしい体験でした。


改めてまどさんの、生きとし生けるものへの謙虚な姿勢、
身近に息づくものたちに対しての新たな発見、
独特な世界の切り抜き方というものに圧倒されました。


どの作品も難しい言葉など一切使わず、子どもにも伝わるような
やわらかな表現で書かれている。
しかもお若い頃から100歳を超える現在までも、
そのスタンスを貫かれていらっしゃる。
こんな方は世界にも類を見ないのではないでしょうか。


800ページの旅を終えた今でも、改めて1ページ目から
再訪したい気持ちになっています。
よく「無人島に持っていきたい一冊は?」なんて
ことを言いますが、仮にそんなことがあるとすれば、
僕はこの本を選ぶことにします。


存命の方の「全集」が編まれるというのは不思議な気がします。
まどさんは、これからも新作を書かれることでしょうから。
ただ、解説などを読みますと、この「全詩集」は版を重ねる
ごとに改訂されていくようです。
 

進化し続ける「全集」。
すごいなあ。



まど・みちお全詩集<新訂版>

まど・みちお全詩集<新訂版>