茨木さんの詩集を読むたびに僕がいつも思うのは、
詩の素晴らしさもさることながら、それを通じて
人間「茨木のり子」に強く惹きつけられるということです。
いい詩を書くためには、まず人間を鍛えること。
日々を丁寧に懸命に生きること。
改めてそんなことを思い知らされます。
茨木さんの作品への感想や評を読むと実に頻繁に
「凛としていて・・・」「襟を正され・・・」
という言葉を見かけ、本当にその通りだなあと思います。
それと、「厳しさと優しさの両方が・・・」という表現も。
この詩集の「マザー・テレサの瞳」という詩の一節に
とありますが、この詩の「マザー・テレサ」をそのまま
「茨木のり子」に置き換えてもいい気がします。
そして、僕はその合間に見え隠れする「お茶目さ」
のようなものにも魅力を感じます。
こんな言い方は失礼かもしれませんが、
おそらく茨木さんはとても「チャーミング」な方では
なかったろうかと。
時々すっと力が抜けて、クスッとさせられるような
瞬間というのがあります。
例えばこの詩集の中で言うと「店の名」「倚りかからず」
「笑う能力」などは、最後に見事な「オチ」(といっても
いいような表現)がついているんですよね。
そこがまた大きな魅力ではないかと。
この三編はとても好きです。
他にも「木は旅が好き」「時代おくれ」「ピカソのぎょろ目」
「水の星」など好きな作品揃い。
特に僕のイチオシは「苦しみの日々 哀しみの日々」
という一編。この詩は心底共感できると同時に、
そこに含まれる戒めにはやはり「襟を正される」次第です。

- 作者: 茨木のり子
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