「わたしと小鳥とすずと」 金子みすゞ

駅構内やスーパーマーケットの中のような小さな書店では、
店頭に置かれてある詩集はごくわずかなものです。
しかし、そういう書店に置かれてある詩集こそが、
現在最も多くの人に愛されている詩集ということでしょう。


そして、どこの小さな書店でも頻繁に目にするのが、
金子みすゞさんのこの詩集(童謡集)です。


一家に一冊・・・といったら大げさでしょうが、
詩の本は読まないという方でも、この一冊だけは
持っているという方もけっこういらっしゃるようです。
実際、僕も人と話していて詩の話になると
金子みすゞだけは読んだことある」と言われる
ことがよくあります。
僕が所持している本の奥付を見たら「第86刷」と
なっていますが、今はもっと増刷されていることでしょう。
こんなポピュラーな詩集はあまり例がないように
思います。


なぜ多くの人に読まれるのか。それは一読瞭然(?)。
どの作品も、シンプルでリズミカルで、
誰もが惹きつけられるような優しさや美しさに満ちています。


僕が特にお勧めしたいのは、


「しば草」
「まゆとはか」
「はちと神さま」
「わたしと小鳥とすずと」
「ふしぎ」
「こころ」


中でも「しば草」と「こころ」は大のお気に入りで、
何度読み返しても、その視点に脱帽します。


彼女が生前書いた童謡は五百編を超えるそうですが、
その中から六十編をこういう形でまとめた選者の
矢崎節夫さんや編集の方々の、
「みずゞさんの童謡をより多くの人へ届けたい」
という気持ちまで伝わってくるような素敵な本です。
是非、一家に一冊。



わたしと小鳥とすずと―金子みすゞ童謡集

わたしと小鳥とすずと―金子みすゞ童謡集