2011-01-01から1年間の記事一覧

「詩を贈ろうとすることは」 谷川俊太郎

僕が詩を書き始めた十代の頃に繰り返し読んでいた詩集です。 だから僕にとっては原点のひとつとなった本であり、 この本によって詩の書き方というのを学ばせていただいた ような気がします。 というよりも影響を受けずにはいられませんでしたね。 久しぶりに…

雑誌掲載予定について

先ほどご連絡をいただきまして、 やなせたかしさんが編集されている 『詩とファンタジー』かまくら春秋社(2012年1月19日発売号) に詩が掲載されることになりました。 昨年4月にも「夕焼けの種」という詩を載せていただきまして、 今回は二度目の掲載となり…

「突然訪れた天使の日」 リチャード・ブローティガン

僕はビート・ジェネレーションだかビートニクだかについては よく分からないのですが、ブローティガンさんの詩には 理屈抜きに惹かれるものがあります。 まず、この本を一読して誰しもが思うのはおそらく 一編が「短い」ってことですよね。 三行とか四行とか…

「かぜのひきかた」 辻征夫

辻征夫さんの詩集をもっと読みたくて探していたら、 絶版になってしまっているのかなかなか手に入らない ものがあったため、しばらく現代詩文庫の「辻征夫詩集」 を読んでいました。 しかし、読んでいるうちにやはり詩集単位で読みたくなり、 結局インターネ…

「雲の映る道」 高階杞一

高階杞一さんはとても好きな現代詩人の一人で、 以前このブログに書いた『キリンの洗濯』と、 この『雲の映る道』は何度も読み返しています。 どの詩もたいへん分かりやすく、とてつもない想像力と ユーモアに満ちているのですが、どこかほろ苦く物哀しい。 …

「死者の贈り物」 長田弘

この詩集もずいぶん前から何度も読み返しています。 長田さんの詩集の中でも特に好きな一冊です。 主に「死」を扱った作品群で、筆者の言葉を借りるならば 「親しかったものの記憶にささげる詩」ということです。 「碑銘を記し、死者を悼むことは、ふるくか…

「東京バラード、それから」 谷川俊太郎

谷川さんの新刊をさっそく読みました。 四十年ほど前にかかれた連作詩「東京バラード」 (『うつむく青年』所収)と現在とを写真と詩で繋ぐ という新たな試みがされています。 いくつかの書き下ろしを除いては、既刊詩集に 掲載済みの詩がシャッフルされ再掲…

「おかあさん」 サトウハチロー

この詩集は、読む人の境遇あるいは思い出などによって 様々な反応を引き起こすような気がします。 ある人は、微笑ましい気持ちで読むかもしれません。 ある人は、ページを開くたびに涙がこぼれるかもしれません。 僕は、何故かいつも眠くなります。 もちろん…

「われに五月を」 寺山修司

寺山修司さんは、長い間僕にとってごく個人的な理由で 克服できずにいる詩人でした。 僕が最初の詩集を書いていた十代の頃、その作品を読んだ ある方から「寺山修司もどき」と言われたことがありました。 今考えれば光栄な言葉でもあるのですが、当時はそれ…

山口旅行〜中原中也・金子みすゞをめぐって

ここ数年、夏になると一人旅をしています。 おととしは、太宰治さん生誕百周年ということで青森へ。 昨年は、宮沢賢治さん・石川啄木さん・高村光太郎さん のゆかりの地を巡って岩手へ。 そして、今年は中原中也さんと金子みすゞさんの生誕地である 山口県へ…

「命が危ない 311人詩集」に詩が掲載されました

先日刊行された 「命が危ない 311人詩集―いま共にふみだすために―」(コールサック社) に「春れんさ」という詩が掲載されました。 これは、東日本大震災が起こった3月11日にちなんで、311人が 「命」をテーマとした作品を寄せ合ったアンソロジー詩集です。 …

「倚りかからず」 茨木のり子

茨木さんの詩集を読むたびに僕がいつも思うのは、 詩の素晴らしさもさることながら、それを通じて 人間「茨木のり子」に強く惹きつけられるということです。 いい詩を書くためには、まず人間を鍛えること。 日々を丁寧に懸命に生きること。 改めてそんなこと…

「魂のいちばんおいしいところ」 谷川俊太郎

谷川俊太郎さんの詩集はどれも好きですが、 『うつむく青年』と『空に小鳥がいなくなった日』と この詩集には特別な思い入れがあります。 自分の中では「サンリオ三部作」(?)と勝手に呼んでいるのですが、 サンリオから出版されたこの三冊の詩集は、 学生…

「屋上で遊ぶ子供たち」 辻仁成

大学生の頃、数え切れないほど繰り返し読んだ 辻仁成さんの第一詩集です。 久々に読み返しましたが、当時あまりに読みこんでいたので、 今でも暗唱できるのではないかというくらい ひとつひとつの詩をよく覚えていました。 好きなフレーズがいくつもあります…

「わがひとに与ふる哀歌」 伊東静雄

伊東静雄さんの処女詩集にして代表作。 二十九歳で刊行されているというから驚きです。 描かれている情景は美しいのに、読み返すたび ひりひりとした痛々しさばかりが伝わってきます。 その背景には、叶わぬ恋(しかも相当に残酷な) があったからということ…

東日本大震災

東日本大震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りしますとともに、 被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。 僕の住む関東地方でも大きな揺れがあり、 今なお余震や停電生活が続いていますが、 僕の周辺では比較的大きな被害は出ていないようです。 こ…

「求愛瞳孔反射」 穂村弘

面白いです。この詩集。 面白いって表現が正しいか分かりませんが・・・、 でも、読み始めてすぐ「デニーズ・ラヴ」という詩で 噴き出してしまいましたもの。 詩を読んで笑ったのなんて久しぶりです。 僕は穂村弘さんの本を読むのは初めてだったのですが、 …

「ONLY PLACE WE CAN CRY」 銀色夏生

高校生の頃、僕のクラスでは銀色夏生さんの色々な本が 回し読みされていました。 たしか最初に女子の誰かが一冊回し始めて、それが皆の手に 渡るうちに次々とファンが増殖し、色々な人が買って それをまた貸し借りして・・・という風に。 それで一時期僕のク…

「春とおないどし」 新川和江

あとがきによればこの詩集は、それまで本に収録される 機会のなかった作品を集めたものだそうです。 音楽で言えばアルバム未収録曲を集めた「B面コレクション」 のような地味なイメージが浮かぶかもしれませんが、とんでもない。 僕にとっては「ベストアルバ…

「キリンの洗濯」 高階杞一

この詩集は十四、五年前に書店で見かけて、 興味深いタイトルと、なんとも言えない素朴で 味のある装丁に惹きつけられて買った覚えがあります。 そして、一読すると今度は一気にその作品世界に 引き込まれました。以来、何度も読み返しています。 僕はこの本…