谷川俊太郎さんの詩集はどれも好きですが、『うつむく青年』と『空に小鳥がいなくなった日』とこの詩集には特別な思い入れがあります。自分の中では「サンリオ三部作」(?)と勝手に呼んでいるのですが、サンリオから出版されたこの三冊の詩集は、学生の頃に何度も読み、自分にとっていわば「憧れの的」だったからです。もちろん今でも。
以前このブログで書いた『うつむく青年』同様、この詩集も比較的分かりやすく親しみやすい作品ばかりで、折に触れ読み返しています。
隅から隅まで好きな詩だらけで、もう「全部読んでください」としか言いようがないのですが、特徴的なのはスヌーピーやチャーリー・ブラウンが出てくる漫画「ピーナッツ」についての詩が載っていることと、「二月のうた」「三月のうた」という風に月ごとの詩が載っていることでしょうか。(何故か「一月」と「十二月」だけないのが昔から気になっているのですが)
学生の頃読んで、特に気に入った詩のページの角を折ってあったのですが、今読み返しても、それらの詩はまったく色褪せないどころか、より新鮮な感動を覚えます。ピックアップしてみますと、
「あなたはそこに」
「あわてなさんな」
「遠くから見ると」
「まっすぐ」
「花三題」
「花の絵」
「魂のいちばんおいしいところ」
「成人の日に」
「ひとりぼっちの大晦日」
表題作の「魂のいちばんおいしいところ」は谷川さんの真骨頂と呼ぶべき本当に美しい詩です。「朝のリレー」くらい多くの人に広まるといいのになあと思います。(既に有名なのかな?)
「成人の日に」は、まさに成人の日に二十歳の若者たちに読んでほしい。僕が市長だったら成人式の挨拶の時に絶対朗読します。(市長なんかなれるはずありませんが)「あわてなさんな」も何度読んでもいいですね。どうしてこんな詩が書けるんだろう。
そして、個人的なイチオシはなんといっても「花の絵」これは傑作です。「優れている」という意味においても、「笑える」という意味においても「ケッサク」です。同じひとつの花の絵を見て、様々な立場の人々(計23名)が一言ずつ感想を述べるというアイデアが絶妙で、なおかついずれも「あ〜! 言いそう〜!」という感じで思わず笑ってしまいます。しかも、さすがは谷川さん。最後に深い一言を添えてくださる。脱帽の一作。
という感じでいつまでもハイテンションに語りつづけてしまいそうなので、そろそろこの辺で。