「詩を贈ろうとすることは」 谷川俊太郎

僕が詩を書き始めた十代の頃に繰り返し読んでいた詩集です。
だから僕にとっては原点のひとつとなった本であり、
この本によって詩の書き方というのを学ばせていただいた
ような気がします。
というよりも影響を受けずにはいられませんでしたね。


久しぶりに読み返してみましたが、やはりこの詩集は
いいですね。個人的には上記のような理由もあるせいか
懐かしさもこみ上げてきて。


特に好きな詩は


「イヴの部屋」
「食卓のデュエット」
「老婆」


といった比較的短い詩篇たち。
そして、なんといっても僕がこの本の中で
最もしびれる一編は


モーツァルト


です。


この語り口調。組み込まれた三つの時間。
全編に漂うミステリアスな空気。
何度読み返しても惹きつけられます。
谷川さんはモーツァルトがお好きなようで、
様々な詩の中に登場させていますが、その中でも
この一編は異彩を放っていて、僕はとても好きです。


この詩集はタイトルの置き方(位置)も独特で、
右上の高い位置に、ときには二行に分けた形で
置かれていて、それもこの本の個性を引き立てて
いるように思います。


谷川さんの詩集は多く刊行されていて、まずどれから
読んだらいいか迷う方も多いと思われますが、
もし「分かりやすくて読みやすい詩集」を選ばれたいなら、
導入として「サンリオ」と「集英社」から刊行されている
ものをオススメします。
その二つの出版社から出ているものは、あまり詩になじみの
ない方でも比較的読みやすいと思いますよ。


詩を贈ろうとすることは

詩を贈ろうとすることは