僕は、この詩集のように口語調で生活感がありありと
感じられるような作品というのがとても好きです。
(木島始さんの訳の力も大きいと思います)
ラングストン・ヒューズさんの詩を読んでいると、
当時の黒人の生活が胸に沁みわたります。
しかし、作品から伝わってくるのは不思議と
「怒り」とか「訴え」といったものではないんですね。
まして「卑屈さ」など微塵も感じられない。
そこにあるのは、ユーモアだったり、ウィットだったり
なぜか明るさを感じさせるものなのです。
「差別」という過酷な現実を生きながらも、
彼らの奥底には、何ものも根絶やしにすることのできない
「明るさ」があるのではないか。
苦しいときにただ「苦しい」と詠うのではなく、
それを茶化したり、芸にしたりしてしまう。
それこそが黒人が優れた文化を生み出し続けた
要因ではないか・・・。
これは彼の詩に限らず、僕が黒人の文学や音楽に
触れるたびに思うことの一つです。
そして、僕はラングストン・ヒューズさんのような
表現者をとてもカッコいいと感じるのです。
それを象徴的するような「助言」という
短い一編を引用します。
「みんな、云っとくがな、
生まれるってな、つらいし
死ぬってな、みすぼらしいよ
んだから、掴まえろよ
ちっとばかし 愛するってのを
その間にな。」
- 作者: ラングストンヒューズ,Langston Hughes,木島始
- 出版社/メーカー: 思潮社
- 発売日: 1993/12
- メディア: 単行本
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