田口犬男さんの詩集を読むと、僕はいつもその想像力とユーモアに対して「ひとりスタンディング・オベイション」を送りたくなります。
「想像力」と「ユーモア」。僕は、詩を書くにあたってこのふたつをとても重要な要素と考えているのですが、田口さんの作品の中では、それらが見事に結晶しているように感じられます。
僕は、どちらかというと「経験」や「実体験」をリアルに綴った詩というのがあまり好きではありません。「それこそが詩の真価だ」と言われる方もいらっしゃるでしょうが、なんだか日記を読まされている気分になってしまうからです。(ちなみに、僕は「海外旅行の体験談」と「庭に咲いている花」のことしか書けなくなったら詩を書くのをやめようと思っています)
それよりも田口さんの作品のように「想像力」が「ユーモア」を伴って疾走しているような詩が好きです。きっと「この人にしか生み出せない世界だ」と強く感じさせてくれるからかもしれません。
この詩集の中で、個人的に特に好きなのは
「ジョンの魂」
「アルマジロジック」
「イエスとその弟子」
「誕生歌」
です。
死んだ人は生き返るは、神の子は情けない顔で出てくるはで、実に愉快な気持ちになります。